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Qiagen DNeasy Tissue Kit を用いたシラミからの DNA 抽出
吉澤和徳(北大・農・昆虫体系)
2002.6.7
用途:シーケンス解析
○試薬
- ATL buffer(キット付属)
- AL buffer(キット付属)
- AW1 buffer(キット付属:規定量の 99.5% EtOH を加えておく)
- AW2 buffer(キット付属:規定量の 99.5% EtOH を加えておく)
- AE buffer(キット付属)
- Proteinase K(キット付属)
- 99.5% EtOH
○プロトコル
- サンプル一個体をキムワイプに乗せ,双眼実体下でピンセットを用い,腹部を頭・胸部から外す.解剖に用いたピンセットは,その都度アルコールを含ませたキムワイプでぬぐった後,ライターやアルコールランプ等で焙る.
- 解剖したサンプルを 1.5 ml チューブに入れ,180 ul の ATL buffer を加える.
- 20 ul の Proteinase K を加え,voltex した後,55C で二晩培養する.培養中,数度 voltex する(最低,培養開始1時間後,3時間後,翌朝:ローターで回し続ければベスト).
- 200 ul の AL buffer を加えて 10 秒間 voltex した後,70C で 10 分間培養する.
- 210 ul の 99.5 % EtOH を加え,30 秒間 voltex する.
- QIAamp spin column を添付の 2 ml collection tube に立て,溶液を移す.この際,1.5 ml チューブにサンプルの外骨格を残しておき,証拠標本としてプレパラートを作成する.
- 6の 2 ml collection tube を 8000rpm で 1 分間遠心する.
- collection tube を交換し,spin column に 500 ul の AW 1 buffer を加え,8000 rpm で 1 分遠心.
- collection tube を交換し,spin column に 500 ul の AW 2 buffer を加え,15000 rpm で 3 分遠心.
- spin column を 1.5 ml チューブに立て, AE buffer を 30 - 100 ul 加え,8000rpm で 1 分間遠心し,DNA を溶出する.
○ぽいんと
- 大型の昆虫では,筋肉組織の一部等を用いて抽出を行えますので,上記方法は意味がありません.Qiagen のプロトコル通りでいいでしょう.
- 微小昆虫では,標本をすりつぶすと DNA を抽出した個体の証拠標本が残りませんが,この方法だと,重要な分類形質を観察できる,非常にきれいな証拠標本を残す事が出来ます.
- タイトルにはシラミと書いてありますが,他の昆虫でも応用可能です.上記1では,腹部を頭・胸部から外すと書きましたが,重要な分類形質を壊さず,かつ体内から DNA がうまく溶け出るような部分であれば,どこを外しても構いません.
- 微量のサンプルのため,スメアをとっても何もでない事も多いですが,PCR は問題なくできます.
Ref.
DNeasy Tissue Kit manual (Qiagen)
Cruickshank et al. (2001) Mol. Phyl. Evol.
もしここに書かれた方法を引用される場合,以下の論文を引用してください.
Cruickshank, R.H., Johnson, K.P., Smith, V.S., Adams, R.J., Clayton, D.H. & Page, R.D.M. 2001. Phylogenetic analysis of partioal sequences of Elongation Factor 1a identifies major groups of lice (Insecta: Phthiraptera). Molecular Phylogenetics and Evolution 19: 202-205.
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